総合トップ 外国人患者受入れに向けた体制整備を進める意思決定及びそのプロセスについて ~地域の基幹病院として 公立・公的医療機関の取り組み事例~<資料配布・録画視聴用>

外国人患者受入れに向けた体制整備を進める意思決定及びそのプロセスについて ~地域の基幹病院として 公立・公的医療機関の取り組み事例~<資料配布・録画視聴用>

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セミナー開催(2023/9/14)時点での情報であることをご理解の上、ご活用をお願い致します。

当日のQ&A

当日、質疑応答の時間内にお答えできなかった質問に対する回答になります。

院内翻訳文書の選定についてご質問です。優先順位をつけるために重要度の数値化をされたとのことでしたが、数値化した項目について、差し支えなければご教示いただけますと幸いです。
文書の重みづけは、①患者さんへのリスクの有無(有1点)、使用頻度(1点)、緊急度(1点)JMIP基準(JMIPで求められている説明文書類等)(2点)、合計5点とし、点数の高いものから優先に翻訳しています。重みづけの表を添付いたします。(横浜市立みなと赤十字病院)
ご講演ありがとうございました。患者情報の共有に関する対応言語板は患者の人数も多いと思いますが、各言語板は何枚ずつ用意をしていますか。
英語、中国語、韓国語、多言語、同伴者通訳の5種類セットで、一般外来、救急外来で各10セット準備しています。補足説明ですが、当院では初診時の患者さんへの対応として、この対応言語板を使用しています。2回目以降は、1回目の受診結果から、次回の通訳の予約を行い、カルテにも記載する運用となっています。(横浜市立みなと赤十字病院)
「対応言語板」素晴らしい取り組みだと思いました。院内の医師の理解を仰ぐときにどのような工夫がありましたか。
入れ替わりの多い病院で、全員の理解を得るのは困難です。前回のJMIP受診では、マニュアル作成に力を入れ、簡易マニュアルも電子カルテに掲載しましたが、十分な周知ができませんでした。事前に理解していない医師でも診療ができることが必要で、その工夫が対応言語板になります。医師には対応言語板の中に実施すべき事項を記載しておき、「誰でも見ればわかる」レベルまで落とし込みをしました。他は、気軽に相談に乗ることで、徐々に医療者の理解を得てきていると考えています。(横浜市立みなと赤十字病院)
スライド9枚目のプロジェクトのメンバーに『事務職』『事務局』とありますが、どのような違いがありますか。
事務職は、医事課、会計課、施設課などの事務職を表しています。 事務局は、そのプロジェクトを運営していく上でリーダーの指示のもと、企画、準備、問い合わせ窓口などを行う部署のことで、職種というより担当者という考えです。初回の事務局は、品質管理室、その後は国際医療部の職員(看護師)が担当しました。(横浜市立みなと赤十字病院)
観光やビジネスでの短期滞在のついでで、救急ではない受診をする方や大量の薬の処方を希望される方も多いように思います。こういった場合にはどのように対応されているでしょうか。
・薬だけを希望される場合には説明しお断りしています。
・必要な薬も基本的には必要な量の処方を実施しています。ただし、帰国等の条件があれば、それらを考慮した処方になることもあります。また、必要時再診に来ていただくケースもありました。(横浜市立みなと赤十字病院)
診療結果に基づき、必要な量のお薬しか処方できない旨説明しています。または近くにある薬局の情報を提供するなどしています。(那覇市立病院)
訪日外国人の患者の方は、観光で来日していて病気になった方と日本で医療を受けるために訪日された方、いずれが多いでしょうか。
現時点では、観光で来日していて病気になるケースがほとんどです。(横浜市立みなと赤十字病院)
当院ではメディカルツーリズムを受け入れていないため、訪日外国人患者さんは全て観光等短期滞在中に体調不良になったかたが受診されます。(那覇市立病院)
外国人患者かどうかというのは、どのように判断されていますか。氏名は日本の名前ですが、日本語では通じない方もいるため、問診・診療で初めて言語が通じないことがわかり現場が困ることがあります。
診療申込書に、国籍、母国語、日本語の可否、対応言語などの記載欄があり、受付時にその内容と聞き取りにて確認しています。また、日本の保険を有しない場合などを含め、顔写真での証明(在留カード、パスポート)の確認をさせていただいています。(横浜市立みなと赤十字病院)
日本の公的保険をもっており、名前も日本名の場合は外国人患者と判断するのは困難だと思います。当院では受付で対応した時に言語の確認と、本人から在留カード等を提示して頂き、国や地域名を入力しています。(那覇市立病院)
書面の多言語化についてですが、カルテから氏名入力済みの同意書が印刷される場合は、その患者の母語で印刷されるようになっているのでしょうか。また、日本語表記のものに同意サインをいただくのか、多言語化された文書にサインをもらうのか、どのようにされていますか。
書面の多言語化は、重要度の高い文書を英語、中国語のみ用意しております。日本語は併記されており、医療者も理解可能です。その他の言語は、その他の言語の場合には日本の文書を、通訳者に通訳してもらい日本語の文書に署名をもらう運用としています。(横浜市立みなと赤十字病院)
同意書は翻訳ができている文書については多言語併記のものに、翻訳版が無い文書は文書の内容を説明した上で、日本語のものに署名をいただいています。(那覇市立病院)
両病院とも地域医療支援病院ですが、紹介状を持たない訪日患者が多く受診されると思います。紹介状が無いときの選定療養費などの費用の部分と紹介状がない患者さんについてはすべての診療科で対応が困難となることがあるかと思いますが、どのような取り組みや運用をされていますか。
・当院の1点20円の運用は、日本の保険を有しない外国籍の患者と定義しています。
・外来診療においては、日本人の受診と同じ扱いとなっており、紹介状がなければ受診できない診療科もあります。
・紹介状がない場合には選定療養費(そのままの料金)をいただき、それに加え診療費は1点20円で計算しています。救急車で来院された場合には、選定療養費はかかりません。
・救急外来では、主に救急科が対応しています。割り振りは外国人患者に限らず日本人の患者と同様に行っています。
一般外来では、総合内科で対応し、必要時他科にコンサルテーションを行っています。(横浜市立みなと赤十字病院)
当院では、訪日外国人患者さんには1点20円の徴収を行っていますが、選定療養費は現在請求していません。紹介状の無い外国人患者さんのウォークインについては、担当医師が在勤で受入れが可能な場合は、先ず看護師によるトリアージを行い受入の判断を行いますが、訪日外国人患者については原則受け入れています。(那覇市立病院)
困窮者など、どうしても支払いが困難な外国人が助けを求めて来院した場合は、どのように対処していますか。
来院してから所持金が不足していることが判明することは多々あります。特に夜間救急外来で多くみられます。緊急性の高いケースにおいては、支払い困難だから受け入れないということはなく、身分確認と、後日支払いの同意書を作成の上、ご帰宅いただきます。 時間的な余裕のあるケースにおいては、受入れ後、検査や治療に関する費用などを説明し同意を得ながら実施します。また、支払い困難な場合には、国際医療部、医事課や相談室などで構成される未収金対策チームがあり、対策を検討しながら対応します。(必要時外部機関、大使館などへ相談など)(横浜市立みなと赤十字病院)
緊急性の高い低いにかかわらず、訪日外国人患者の場合はできるだけ受入れを行っています。 (近くのクリニックへ再度移動するのが不便であること等を考慮して) 訪日旅行者で支払い困難な場合は、同行者や母国の家族、在日コミュニティ等に支払いに関する支援を要請します。 また医事課とも連携して支払いに関する相談にのっています。 在留外国人患者の場合は、院内にいる医療ソーシャルワーカー、医事課とも連携して、公的制度の説明等、 支払いに関する対応を検討します。(那覇市立病院)
訪日外国人の入院対応が必要になった場合、どのように対応されていますか。
入院対応は、基本的には日本人と同様です。訪日外国人で追加して実施している内容は、パスポートの確認、滞在期間(帰国予定日)、支払い関連(海外保険適応の有無、1点20円運用の同意含む)などを確認しています。入院初期の段階で、医事課と国際医療部、診療科(病棟)と問題点などを共有し、対応できるようにしています。(横浜市立みなと赤十字病院)
診療時間内であれば、外国人コーディネーターが入院手続きに関する説明に同席し、手続きに関する通訳等支援を行います。時間外の場合は、急病センターと病棟が連携して入院手続きを行い、その後外国人コーディネーターに連絡があり必要な支援を行います。(那覇市立病院)
外国人患者を受け入れようとする積極的な動きは、元々誰のどのような提言から始まったのでしょうか。
院長の経営・戦略方針です。(横浜市立みなと赤十字病院)
現副院長(兼国際医療支援室室長)の「国籍を問わず安心安全な医療を提供する」という考えのもと、先ずは外国人患者の問題集約部門の立ち上げが必要との提言から始まりました。(那覇市立病院)
公立病院であれば市民の方への医療提供が重視されると思います。外国人患者さんの受入れによりトラブルが発生したケースがありますか。また、トラブルを回避するためにとった方策があれば教えてください。
外国人患者の受入れによる大きなトラブルは特にありません。 トラブルを回避するために、早めに院内で情報を共有し、各種対応や説明を早めにできるようにしています。(横浜市立みなと赤十字病院)
外国人患者さんの受入れによる(他の市民の方への)大きなトラブルになったケースはありませんが、入院中に外国人の妊婦さんと同室だった日本人の妊婦さんから、「ずっと電話をしていて声が大きく休めない」という相談があり、外国人の妊婦さんには入院中のルールを説明して解決した事例はありました。(那覇市立病院)
外国人の患者様の家族、大使館などに連絡する際、個人情報の開示が必要です。JMIPにも同意書を作成するよう書かれてありますが、外国人患者様に頂く「個人情報保護に関する同意書」に盛り込む必須文言はどのようなものがありますか。
JMIPの評価項目(Ver3.0)において、「個人情報保護」に言及している個所は2か所です。
「1114➁ 海外医療機関からの情報入手について、外国人患者から同意を得る方法がある。」
 ⇒ 主に訪日外国人患者において、母国の医療機関から患者情報を取り寄せる際に、患者から同意を得るための同意書(外国語版)が求められます。
「2113③ 外国人患者の家族または関係者が通訳を行う際のリスクを、通訳者や患者本人に書面で通知している。◆リスクとは、通訳過誤や、個人情報漏洩、倫理問題等である。」
 ⇒ これは同意書ではありませんが、同行通訳者がいる外国人患者に対して、個人情報漏洩のリスクがあることを書面(外国語版)で示して、認識共有してもらうことが求められます。
これ以外にも、個人情報保護に関する同意書として、外国人患者も日本人患者も共通の内容のものは必要であろうと思いますが、それについては、厚生労働省下記ページをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000027272.html(日本医療教育財団)
当院がJMIP認証を受けるべきかの参考として、加入されている病院の外国人患者数や規模などの概要を教えてください。
JMIP認証病院での外国人患者実績数や規模については、かなり幅があります。
外国人患者数では、年間数千人規模の来院があるところから、月に数名程度のところまであります。平均すれば、年間数百名程度かと思います。月に数名程度の病院でも、今後の需要増を見越して、または地域の外国人コミュニティとの関係を大切にするため、少数ながら渡航医療患者の受入れのため、など、様々な理由でJMIPを取得されています。
規模についても、1300床以上の大学病院から、地域密着型の40床の病院まで、かなりの幅があります。標榜科については、総合病院が多いですが、単科に近い病院もあります。(日本医療教育財団)
「医療通訳者、外国人患者受入れ医療コーディネーター配置等支援事業」について、簡単に説明をお願いしたい。
本事業は、外国人患者が安心して日本の医療機関を受診できるよう、また、医療機関が安心して外国人患者に医療を提供できるよう、「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」の機能を強化することを目的とし、医療機関における多言語対応を可能とする体制及び医療機関内における一連の手続きをサポートできる体制の構築支援等を行う事業です。
本事業内で実施される医療機関を対象とした事業に「医療通訳配置等間接補助事業」があります。
令和5年度補助金事業における医療機関向けの応募概要は以下になっております。
●応募条件:
(1)都道府県「外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関」に選定されていること
(2)院内に「医療通訳者」・「外国人患者受入れ医療コーディネーター」を配置すること
(3)拠点的な医療機関としての取組みを行うことができること
(4)効果測定データ等の収集を行うことができること

●本事業に係る補助金の対象となる費用:
配置された医療通訳者、外国人患者受入れ医療コーディネーターの人件費(事業期間内の職員基本給、職員諸手当、社会保険料)
※補助割合は1/2で、1医療機関当たりの上限額については、以下のようになっています。
〇これまでに本事業による補助の実績がない医療機関
・1医療機関当たりの上限額 : 4,372 千円
〇これまでに本事業による補助の実績が1回以上ある(採択実績のある)医療機関
・1医療機関当たりの上限額 : 2,186 千円
※令和5年度事業(募集期間終了)における詳細については、以下をご確認ください。
https://www.jme.or.jp/news/230609_1.html
(運営事務局 メディフォン)
外国人患者の診療で診断書や証明書を要求される事があるが、多言語対応例文は入手できますか。
診療情報提供書や保険請求などで必要になる医療費請求書や明細書については、厚生労働省で多言語資料を公開しております。6ヶ国語(英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・ウクライナ語)対応です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokusai/setsumei-ml.html
また、航空機に搭乗するために急ぎ診断書が必要であるケース等については、各航空会社が公開している診断書(MEDICAL INFORMATION FORM :MEDIF)が参考になるかもしれません。日本の航空会社の事例をご共有しますので、一度、ご確認いただけますと幸いです。
日本航空(JAL):https://www.jal.co.jp/en/jalpri/common/pdf/pdf-medif_jal.pdf
全日本空輸(ANA):https://www.ana.co.jp/share/assist_eng/pdf/medif.pdf
(運営事務局 メディフォン)